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2005年03月10日

GDC(3月9日)/嗚呼痛恨は鶴見に輝く

さてGDCも鶴見にとっては今日からが本番。朝イチから早速レクチャーに吶喊だ。


"Perform or Else! Why (and How) to Include Extroverted Play Design in your Game"
Katherine Isbister

「外交的な遊び(extroverted play)」のゲームデザインに関するレクチャー。スピーカーのKatherineはゲーム制作者ではなく心理学者で、社会心理学的アプローチによってゲームを研究しているのだとか。森昭雄なぞのような「ゲーム識らずによるゲーム研究」とは違い、ゲーム好きが昂じて研究を始めてしまった!的な匂いが感じられて良い。

実際に講義の内容も、いちいち腑に落ちる。「DDR」や「アイトーイ」を使った実験映像を見せつつ、いかにユーザー同士の交流を盛り上げるか、その為にはどんな要素が必要か、などを説明している。以前、鶴見がセガでアーケードゲームを作っていた時に、ユーザーを「盛り上げる」為のノウハウが、部署内では流通していたように記憶しているのだが、それを、社会心理学の立場から体系的にまとめた、といったカンジだ。うむうむ役に立つ。

講義の後、彼女に挨拶させていただいた。実は、IGDAの小野さん経由で、彼女の「ゲームキャラクターのデザイン」に関する著書の執筆に協力したコトがあるのだ。今回の講義を聴く限りでは、その本も期待できそう。著者サイン本を送ってくれるかも(笑

"The Future of Games: Unlocking the Opportunity"
J. Allard

マイクロソフトによる基調講演。鶴見は行ってないのだが、なんと3人に1人の確率で、観客に23インチのHDTV(Samsung製)が当たったのだそうな! 相棒の長谷川亮一も当たったし、SOCOMのプロデューサー・Seth Luisiと、その兄Hunter Luisi(ルイージ兄弟)にも当たったし、インプレスのWeekly海外ニュースでお馴染みの後藤弘茂さんにも、IGDAの新さんにもセガの山下“やんま”信行にもSHOTAN岩井にもと、鶴見の知る限りで7人に当たってる。なんて確率だ。

後藤さんの試算によれば、SamsungとMicrosoftの関係がナニなので、原価($500程度)で入手したとしても、50万ドル≒5000万円! しかも、日本にまで発送してくれるというコトだから、送料も1台あたりン百ドルはかかるだろう。さすがマイクロソフトはエクセレント・カンパニーだ(財務面で)。


"Game Design Challenge: The Emily Dickinson License"
Eric Zimmerman, Peter Molyneux, Will Wright, Clint Hocking

毎年恒例の人気講演。一言で云うなら、「ベストセラー本ゲーム化会議」だ。アレと同じ。今回は、「エミリー・ディッキンソン(アメリカの詩人)」の版権でゲームを作る、というテーマ。Will Wrightがリベンジを果たせるか!?という、なんだかプロレス的な遺恨劇にまで発展しているらしい――

のだが!

観逃しちまったよ!(泣

無線LANカードを買いにCOMP USAに行き、CDドライヴを持って来ていないからインストールまでお願いしたところ、「30分で終わるよ」という言葉とは裏腹に3時間もかかってしまったのだ!(怒

行った人間の話によれば、今年も期待に違わず面白かったそうな。痛恨!

"Gameplay Moves Forward into the 21st Century"
Peter Molyneux

会場に行ったら、演題が「Next Generation Game Design」と云う名前に変わっていた。何をやったかというと、彼のLionhead Studiosによる新作3本「The Movies」、「Black & White 2」、「The Room」のプレゼン。相も変わらず、超ユーザーインターフェースを使った超いじる楽しさが満載で、健在っぷりを披露していた。

あの手の「超ユーザーインターフェース」の「超いじる」の楽しみは、マウスと高解像度ディスプレイが必須なので、家庭用コンソールには移植できなかろう。ニンテンドーDSが、タブレットPCサイズなら、きっとキラーソフトに出来るだろうに(あのサイズじゃ超ムリ)。


そして夕方からは、お楽しみの「ゲーム・デヴェロッパーズ・チョイス・アワード」

細かい部門賞の行方は、鶴見的にどうでもよいので割愛。目玉は、さんざん書いているように、生涯功労賞をEugene Jarvis氏が受賞したコト。ちなみにプレゼンターは、去年の受賞者、マーク・サーニー(Mark Cerny)だ。Eugeneは彼にとっての「ヒーロー」なので、さぞかし光栄だったコトだろう。

そういえば、マークが紹介したEugeneの言葉、

「コンピュータの、唯一正しい使い方
 それは『ゲームで遊ぶコト』である」
"The only legitimate use of a computer is, to play games"


これにはシビれた。そして、続くEugene本人のスピーチにあった一言、

「(ゲーム制作は)世界で最も面白い仕事」
"The funnest job in the world"


まさに快哉を叫ばせていただきました。全ての制作者に勇気をありがとう、Eugene!


ちなみに、ベストゲームのアワードは、Half Life 2。塊魂も超人気で、ノミネート作として呼ばれる時に異例の拍手が沸き起こったりもしたのだが、部門賞2つに留まった。なんかICOと似てるカンジやね。


チョイスアワードの後は、Sony Metreonの特設会場でSCEアメリカ主催のパーティが開かれた。飲んで喰って飲んで喰って、ワインとハンバーガーをあからかして、相当酔ったので退散。さすがアメリカ、毎晩パーティだ。身体が保つんだろうか…。

【追記】
しまったぁッ! Eugeneを探し出してサインを貰うのを忘れてたッ! これまた痛恨の極みッ!

【追々記】
そういえば、後藤さんと話している時に、後ろから岡本伸一さんにも声をかけられ、ソニーの新人事についてひとしきり盛り上がったのであった。つうか岡本さん、会場の隅っこのテーブルでナイショのミーティングを堂々と行うってのは、いかがなものか(笑

【追々々記】
SCEAのチーフ・テクニカル・オフィサーであるところの茶谷さんも、HDTVが当たったのだそうな。これで8人。まだまだ出てきそうな予感…。

カテゴリー: 六百式見聞録

投稿者 tsurumy : 2005年03月10日 20:54

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