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2005年10月24日

それは「ポン」から始まったというコト

アーケードゲーム業界に身を置いていた人間なら誰でも知っている「ゲームマシン」の発行元・アミューズメント通信社から、『それは「ポン」から始まった』(赤木真澄・著)という書籍が先月発売になっている。発売されたら買おうと思っていたのだが、忙しさにかまけてすっかり忘れていた。遺憾。

そして先週、仕事がヤマを越えたので注文したところ、なんとも丁寧な梱包で本日到着した(この梱包は感動モノなので、皆も注文して感動するがよいだろう)。本書は、一般書店には流通しておらず、通販オンリーだとのコトなので、きっとアミューズメント通信社の方が、1冊1冊、手作業で梱包しているのだと思う。「良書を送り出す」という気概に満ちた扱いである、うむ。


中身についてはリンク先の目次を見て貰えば判るのだが、アーケード・ビデオゲームの通史と云える内容になっている。19世紀末の「ペニーアーケード」の成立から、昨今のセガサミーの合併までを網羅しているのだから、500頁を越える厚さもむべなるかな。鶴見はまだ3分の1ほど読み進めただけなのだが、既に脳味噌は発熱しまくりだ。

冒頭で【TVゲーム以前のアーケードゲーム機】として、ピンボールゲーム機の発達について割かれているのには、いきなり先制パンチをくらってしまった気分だ。鶴見は、青春の一時期をピンボールに捧げたような人種なので、「ウィリアムズ」や「バリー」、「ゴットリーブ」などの単語が並んでいるだけで、もう心が躍ってしまう。それらのメーカーが成立するに至った経緯を読むうちに、無骨な文体が鶴見の脳内では「栄光なき天才たち」に変換されてしまい、燃えまくりだ。

そして、セガ・タイトー・ナムコなどの大手ゲームメーカーの勃興期に関する記述の数々。鶴見は、小学校に上がる前から近所のデパートのボウリング場/ゲームセンターに入り浸って、TVゲーム以前のアーケードゲームに熱中していたような人種なので、これまた鶴見の脳内では「プロジェクトX」に変換されてしまい、再度炎上。

巷では「TVゲームの父」と呼ばれるノーラン・ブッシュネル氏が、実は「TVゲームビジネスの父」ではあってもTVゲームを最初に発明したワケではない、という事実は本書で初めて知ったし、Apple社の創業者である「2人のスティーブ」がアタリ社で何をやったのかも、本書を読むまでは知らなかった。

今はちょうど、第9章【タイトーの「スペースインベーダー」】を読み終えて、一息ついているトコロ。書かれている内容は、客観的かつ冷静な記述に過ぎないのだが、鶴見の脳内を通すとどうも、上述のように「燃えるドラマ」になってしまい、疲れること夥しい(笑

鶴見は元々、セガ社で業務用アーケード機を制作していた身なので、業界に関する知識は人並み以上にあると思う。とはいえ「断片的」に、だ。そうした断片的な知識のそれぞれが、ビデオゲームの歴史にルーツを持って対応・符号しているのを、本書では新たに発見させてくれる。いやもう、なんとも心地よい知識欲の充足。全てを放出しきったマスターアップ後に読む本としては最適だ。

さて、これから風呂でも沸かして、お湯につかりながら残りを読もうかね…。

【追記】

購入を迷っている方は、Classic 8-bit/16-bit Topicsに掲載されている書評を読むがよかろう。この書評を読んでピンときた人間なら「買い」だ。

カテゴリー: 六百式見聞録

投稿者 tsurumy : 2005年10月24日 17:13

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コメント

 いま注文しました。

投稿者 党首 : 2005年10月24日 18:56

同意! 値段以上の価値はありますよね

投稿者 サブちゃん : 2005年10月26日 23:31

 届いたゼー!
 ゆっくり読みます。

投稿者 党首 : 2005年10月27日 18:43

梱包はどうだった?>党首
感動的に丁寧じゃなかったかい?

投稿者 tsurumy : 2005年10月30日 22:05