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2003年11月28日

嘘六百・第37回/「オンラインゲーム」(4)

前回の純粋出会い系ゲーム「ときメモ®オンライン」試案に対して、某大手メーカー勤務の某氏(本人の希望により名を秘す)から質問が来た。曰く――

「出会い系は、参加者の数が多くなければ魅力が無いと思うのですが、初期集客からコア層の形成、ライト層への浸透に至るまでの『ロードマップ』は、どのように想定されていますか?」

 オンラインゲームに限らず、我々が長期プロジェクトを計画する場合には、ロードマップ(と呼ばない場合が多いが)を作り、各段階における、明確な到達点(マイルストーン)、目標ユーザー層、投入経営資源と予算、そして次段階への移行が正しく行われ得るかどうか――等を設定・検討するのが普通だ。これ無しのプロジェクトというのは、まず有り得ないし、今回だっておぼろげではあるがちゃんと考えている。実現予定は無くとも妄想るのが、プロとして、習い性になってしまっているのだ。

で、某氏への回答だが、一定数以上のユーザーが居なければ、出会い系としての魅力が無いというのは指摘の通りだ(正確には、ユーザー数というよりも「ヒット数」の方が重要なのだが)。なので、素直に考えれば、最もユーザー数が少ない立ち上げ時が、最も面白くない時期だという事になってしまう。そして、最初が面白くないゲームに未来は無い。

もちろん、そんな事は百も承知だ。

ならばどうするか?

そんなの決まってるじゃない。

サクラだよ、サクラ!
仕込むしかないでしょ!

――といっても、純然たるサクラ=「集客の為だけの囮」とはチト違う。仕込むのは、実際に彼氏彼女を募集中で、出来れば、顔出し・プロフィール出しOKの人間たちだ。予算が許せば、イベント的なコンテストで、見目麗しき男女を選んでおくのが良いだろう。

初期においては、彼ら・彼女らをβテスターとして「雇い」、実際に彼氏彼女探しをしてもらい、その様子を逐一「公開」してゆくのだ。イメージとしては、「あいのり」や「パンチDEデート」(古っ!)のような感じか。

それらのTV番組よりも有利なのは、ゲーム内でのプライバシーは保護される事。即ち、顔出し・プロフィール出しで「参加表明」をしていたとしても、公開されるのは「ときメモ(R)世界のアバター」としての恋愛なので、外部からの匿名性は保護される。

これは、気恥ずかしさや躊躇いといった、自分のアイデンティティを護ろうとする――そして恋愛をする上では往々にして障壁になってしまうような心の動きからプレイヤーを解放するという、このゲーム特有のシステムに拠る副産物だ。

もし、可愛い女性・格好イイ男性が居ることが保証されている世界において、βテストにもかかわらずオンライン上で次々とカップルが成立していったなら――例えユーザー数が少なかったとしても、いやむしろユーザー数が少ないからこそ、放流直後の釣り堀や新装開店のパチンコ屋のように、早耳のユーザーが集まる事だろう。

かくして、コア層が形成されてゆく訳だ――。

※「ときメモ」はコナミ株式会社の登録商標です。

「ロードマップ」って言葉は、ホントはうちの業界じゃ使わないんだよね。少なくとも、セガ&SCEでは。ただ、意味合いを上手く伝える言葉なんで、使ってみました。流行だしね(笑)。

いや、マジで「ときメモ」のフランチャイズって、もう、一部のコアを除いては先細り状態だから、再生を目論むべきだと思うのですよ。より広い層に向けて。
ときメモオンライン、自分ではやるつもりは全くないので、六百デザインにコンサルティングを発注するのは差し控えてほしいけど(笑)、でも、企画書ぐらいだったら書きますよ。ええ。


【追記】
Web2.0的なゲームでの、初期段階での集客について考えられた記事を発見した。

「プロプレイヤー」(穴があったら入りたい)

2年前に、同じコトを悩んだっけなあ、と思い起こしてトラックバック発射。ソリューションの一つ(のヒント)がここにあります。

投稿者 tsurumy : 2003年11月28日 06:00

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